高齢者と障害者が1つの施設に共存する共生型サービスは、新しい福祉施設の形態として注目されています。従来は、障害者施設で過ごしていた障害者が高齢になると、障害者総合支援法の適用がなくなって介護保険法の適用が始まり、高齢者施設に移っていました。長年慣れた環境を離れて別の施設に移ることは、高齢となった障害者には負担が大きく問題となっていました。
共生型サービスを提供している施設のメリットは、障害者が高齢になった場合も同一の施設の利用を継続できる点です。障害者に年齢制限はないので、高齢者から年少者まで幅広い年齢層が同じ空間で過ごすします。
そのため、幅広い年齢層の利用者がコミュニケーションを取ることでお互いに良い刺激が生まれます。様々な場面で支え合うことも可能になるでしょう。
障害者が身体の不自由な高齢者の生活の補助をしたり、高齢者が障害者の見守りをしたりして、施設運営に貢献することも期待できます。障害者と高齢者の双方が役割を持てることを実感できれば、日々の生活にメリハリがつくだけでなく、達成感や充実感も感じられるはずです。
一方で、障害者と高齢者の両方をケアしなければならない介護職員の負担が増える可能性も否定できません。たとえば、多動性の知的障害者と、動作の緩慢な高齢者が共存する共生型サービス施設では、従来想定しなかった事故も起きうる可能性があります。
共生型サービスの導入によって職員数が増えるとは限らず、介護職員は介護・療育のどちらにも活かせる知識とスキルを習得しなければなりません。また、利用者の身体的な負担を軽減して事故を予防するためにも、トイレや段差といった部分を改装する必要が出てきますが、出費も相当なものになるようです。